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畑 健二郎

Vol.431 /2017/03/29

【566話 ハヤテのごとく】

現在、最終回のカラー中。

そして最終回は、なんと29ページ!

なかなか死にそうなページ数ですが
最後なので死ぬ気で描きます!

とりあえず最終回の
ラスト3ページがカラーです。
最後がカラーになる漫画に憧れていたので
それが出来て嬉しいです!

まぁ、まさかこんなギリギリに
なるとは思っていませんでしたが…

てことで本編の方は
今週を入れて残り3話!

とりあえずここからは
ネタバレ話になるので
今週の話を読んでから読んでね!


-------------ネタバレ--------------

基本的に物語を逆算で作ることが
あるわけです。

先々で起こるであろう場面を
想定して話を作るというか、
まぁ、今週の話はぶっちゃけ
そういう話、満載です(笑)

ここまで来るの、長かったぁ…

このシーンのために約束して、
このシーンのために19巻でああして、
このシーンのために石の名前はそうなるわけです。

で、今回、この漫画において
もっとも長い逆算で
描かれたものがあるわけです。

それはこの漫画の構想直後。

「執事漫画を描かないか?」

現在スピリッツの編集長である
坪内さんに神保町のロイホで言われた帰り
僕はずっと考えてました。

『執事漫画の本質とは何だろう?』

帰りの電車に揺られながら
僕はずっと考えたわけです。

なぜお嬢様に仕えるのか?
人に使われるなんて嫌じゃない?
仕えるとはどういうことなの?
そして、それにはなんの意味があるの?

僕はずっと考えました。

なぜなら、
その答えがこの漫画のテーマであり
描くべきもののような気がしたからです。

なやみました。

笑いの要素は思いつくけど
本質を掴んでないので
漫画の軸がないのです。

軸がないから
主人公の執事のキャラクター設定が
あやふやで、全然ハッキリしませんでした。

どれくらい悩んだでしょうか。
きっかけは些細なことでした。

この漫画の先週までの数話
サブタイトルで
使わせていただいた曲を聴き、
その曲が使われていた僕が大好きな作品を
見直していた時のことです。

その作品の名は仮面ライダーブラックRX

ヒーローものです。

それを見直していた時
なぜかふと理解できたのです。

ああ、これが執事ものという漫画を描く上で
テーマにしたい、
しなくてはいけない究極的な本質だと。

それはヒーローと同じ。

『人は、誰かのために
死ぬことができるだろうか?』

ということでした。

執事とは何か?

それはきっと、
お嬢さまのためなら
死ぬことすらいとわない男だと。

だから
そういう物語を描こう。
そして、そういう男を主人公にしよう。

それがこの漫画の原点であり
この漫画を支える全ての発想の起点です。

そこからは早かったです。
主人公はお嬢さまのために
血を流すことをいとわない執事。

つまり、今のハヤテの完成です。

しかし、さらに考えました。

だとしたら、物語の最後
その主人公は選択しなくてはいけないと。

この漫画の
根本を担うテーマに対して
真っ向から挑まなくてはいけないと。

『人は、誰かのために
死ぬことができるだろうか?』

だから、それを最後に選択する場面を作ろう。
いや、作る必要がある。

しかし本当にリアルに死を選ぶ場面は
さすがに少年誌的に出来そうにない。

だったらそこにはファンタジーが必要だ。

そして生まれたのが
庭城でした。

ハヤテの最後の選択のために
その城も、城の仕組みも生まれたのです。

ずっと考えていました。
少女と出会って一年、
最後に少年は、選択できるのか、と。

この漫画の連載を始めた直後
物語の最後に
少年は少女に言うだろうと
想定していた言葉があります。

それをようやく今週
描くことが出来ました。

「欲しいものがあるんじゃなくて
失いたくないものがあるんですよ」と。

積み重ねた
大切な日々を思い
きっと少年は言う。

そして、それを笑顔で言う時
きっと少年は選択するだろうと。

ハヤテのごとく!とは
つまりそういう作品です。

誰かのために、
何かができる。

そういう物語を
13年近くかけて
描いてきたのです。


残り2話。
その選択の先に何があるのか。

最後までお付き合いください。
それでは。